ホンジュラス内政・外交月報 〈2010年1月〉
Ⅰ.内政
(1)大統領就任式
(ア)27日、大統領就任式(於:当国国立競技場)が開催され、ロボ政権が誕生した。就任演説においてロボ大統領は、セラヤ前大統領等の政治犯罪に対する恩赦や、テグシガルパ・サンホセ合意の着実な履行、真実究明委員会設立について言及した。また、貧困家族への一時金支給、医療体制整備、教育問題、治安問題、汚職問題等への取り組みを確約した。
(イ)6月政変にかかる恩赦
セラヤ大統領の拘束・国外追放事件に関わる政治犯罪及び政治犯罪に付随する一般犯罪についての恩赦の立法令が,就任式開始前に国会で批准され,その後式典において、ロボ新大統領により署名され,右をもって右立法令が承認された。
(ウ)新政権による「国家ビジョン(Vision de pais)」の法制化
式典に「おいては,「国家ビジョン(Vision de pais)」が法制化された。「国家ビジョン」は今後28年間(2038年まで)の「国家計画(Plan de nacion)」として主に①貧困削減、②民主主義の強化、③生産・雇用の増加と環境保全、及び④地方分権の4つの目標を掲げるとともに、その他、教育(就学率引き上げ)、社会保障(年金制度の整備)、治安(犯罪発生率の減少)といった分野にも取り組む。
(エ)式典への主要出席者は、バレンスエラ米国務次官補、フェルナンデス国務次官補、ケリー国務筆頭次官補代理、マルティネリ・パナマ大統領、フェルナンデス・ドミ(共)大統領、馬台湾総統、サントス・コロンビア副大統領、サカ・エルサルバドル前大統領、ロダス・グアテマラ外相らであった。なお、ミチェレティ「暫定」大統領は式典を欠席した。
(2)軍幹部に対する提訴の棄却
6日、検察は6月28日のセラヤ大統領の国外追放や権力濫用によりロメロ・バスケス国軍参謀総長を始めとする三軍幹部6名を最高裁に提訴した。その後26日、アビレス最高裁裁判官は、セラヤ大統領の国外追放は「血の惨事」を回避するためのやむを得ない手段であったとし、軍幹部6名に対する起訴を棄却した。
(3)新国会の発足
25日、新国会が召集され、4年の任期(2010年~2014年)が開始した。エルナンデス新国会議長(国民党)は開会式において、国際社会に対しロボ政権の一刻も早い承認を訴えた。その理由として、①ロボ氏が選出された選挙プロセスは「合法的且つ然るべき方法」で行われ、6月28日の政変が起きる前から始まっていたこと、②今次選挙は当国の政治史上最も透明性が確保され監視された選挙だったこと、及び③ロボ氏は絶対的大多数の支持を得て当選したことを挙げた。
Ⅱ.外交
(1)ケリー米国国務次官補の当国訪問(5日~6日)
5日、ケリー米国国務次官補はテグシガルパを訪れ、セラヤ大統領及びロボ次期大統領と会談し、6日にはミチェレティ「暫定」大統領と会見した。これら会見では主にこれまでの出来事に対する評価(選挙プロセス、選挙結果、移行期、テグシガルパ・サンホセ合意の履行)が中心テーマとして扱われた。
(2)コロンビアの対ホンジュラス関係
(ア)カルデロン副大統領の当国訪問(12日)
12日、カルデロン・コロンビア副大統領は、ロボ次期大統領と会談し、コロンビア政府はロボ次期大統領への全面的な援助を約束する旨言及した。
(イ)ウリベ大統領の当国訪問(30日)
30日、ロボ大統領はウリベ・コロンビア大統領と公式会談(ロボ大統領就任後最初の公式会談)を行い、会談においてウリベ大統領はロボ大統領を正統性のある大統領と承認し、また、両大統領は治安対策面における両国の協力(治安対策における両国の経験・知見の情報交換を行い、両国の制度面における治安対策の向上を図るため行動計画を策定するもの)に合意した。
(3)ホンジュラスのALBA脱退
(ア)12日、国会はチャベス・ベネズエラ大統領が主唱する米州ボリバル代替統合構想(ALBA)からの当国の脱退を承認した(ホンジュラスは2008年8月25日にALBAに加盟)。本決議は、ALBAに伴うチャベス大統領によるイデオロギー的かつ軍事的干渉が主要因となり議決された。
(イ)当地外務省発表のコミュニケ(26日付)によれば、ミチェレティ「大統領」は26日、立法令第284-2009号を発令し、ホンジュラスのALBAからの正式脱退を承認した。またホンジュラス外務省は、ウィーン条約第56条に基づき右決定を正式にベネズエラ外務省に伝達した。
(4)セラヤ前大統領のドミニカ(共)への出国
(ア)20日、ドミニカ(共)を訪問したロボ次期大統領とフェルナンデス・ドミニカ(共)大統領との間で「ホンジュラスの国内和解と民主主義強化のための合意(Acuerdo para la Reconcilizacion Nacional y el Fortalecimiento de la Democracia en Honduras)」に署名がなされた(サントス元自由党大統領候補、カナワティ元国民党大統領選予備選挙候補、アビラ元キリスト教民主党大統領候補、ハム元民主統一党大統領候補、アルバレス・テグシガルパ市長同席及び調印)。右合意は、1月27日の大統領就任式後、セラヤ前大統領その家族、側近がドミニカ(共)へ賓客として渡航することを認めるもの。
(イ)27日、セラヤ前大統領は、ブラジル大使館においてロボ大統領及びフェルナンデス・ドミニカ(共)大統領と会談を持った後、フェルナンデス大統領とともに出国、同日サント・ドミンゴに到着した(夫人、娘及び側近同伴)。
在ホンジュラス日本国大使館, Col. San Carlos, Calzada Rep. Paraguay, Tegucigalpa, M.D.C., Honduras, C.A.
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