ホンジュラス内政・外交月報 〈2010年3月〉
Ⅰ.内政
(1)エルビン・サントス・ロサーノ氏の自由党党首選出
4日、自由党本部は、エルビン・サントス・ロサーノ氏(サントス前自由党大統領候補の父)をミチェレティ党首の後任とする旨過半数票で可決した。党本部幹部は、ミチェレティの存在は党の分裂を悪化させるとして今回の新党首選出に至った旨述べた。
(2)真相究明委員会の準備状況
12日、真相究明委員会コーディネーターを務めるステイン・グアテマラ元副大統領は同委員会の国際社会代表メンバー候補者を載せたリストをロボ大統領に提出した。また、当国側委員として、カステジャーノス国立自治大学学長、カスコ同大学前学長及びセルヒオ・メンブレーニョ氏(事務局長としてのメンバー入り)の3名が発表された。
(3)ロボ大統領による「ボノ・ディエス・ミル」(貧困家庭への一時金支給)の開始
22日、ロボ大統領は、自らの選挙公約である「貧困家庭への1万レンピラ(約50米ドル)支給」(通称「ボノ・ディエス・ミル」)の第1回目の支給を、インティブカ県カマスカにおいて実施した。本件支給の目的は、未婚の母が支える貧困家庭を経済的に援助し、子女の教育・食糧事情の改善を実現することにある。
(4)2010年度予算
27日、国会は2010年度予算法案を可決した。右予算案総額は121,990.2百万レンピラ(内訳:中央政府予算68,230.6百万レンピラ(全体予算の56%),その他公的機関予算が53,759.6レンピラ(全体予算の44%))。中央政府予算の内重点が置かれたのは、教育・保健・国債・治安・公共事業である。
(5)報道関係者の殺害事件
2010年3月に入り報道関係者(ジョセフ・オチョア氏、ダビド・メサ氏,ナウム・パラシオス氏,ホセ・マイレナ氏及びマヌエル・フアレス氏)が相次いで殺害された事件が発生した。5日、治安省はプレスリリースを発出し、治安省、関係各省及び警察当局は今回の痛ましい事件の真相究明に尽力し、人権遵守及び国内和解のために平和と協調を目指す旨発表した。
これに対し,米州人権委員会(IACHR。OASの下部機関)は、ホンジュラスにおける治安状況に懸念を表するとともに、迅速且つ的確な真相究明を行うよう、ホンジュラス当局に要請した。
(6)税収拡大のための税制改正
28日、「歳入強化・社会公正・歳出合理化法案(Ley de Fortalecimiento de los Ingresos, Equidad Social y Racionalizacion del Gasto Publico)」が国会において可決された。右法案は、税収を確保(5,000百万レンピラ。主に電気通信及びエネルギー部門からの収入)し財政赤字を是正することを目的としているが、徴税の対象は富裕層であり、貧困層には打撃を与えない内容となっている旨説明された。
Ⅱ.外交
(1)中米首脳とクリントン米国務長官との会合
5日、中米首脳とクリントン米国務長官との会合が行われた(於グアテマラ。フェルナンデス・ドミニカ(共)大統領、アリアス・コスタリカ大統領、コロン・グアテマラ大統領、フネス・エルサルバドル大統領及びバロウ・ベリーズ首相が出席。オルテガ・ニカラグア大統領は欠席。ホンジュラスからはロボ大統領、カナワティ外相、ギジェン大統領府大臣が出席)。右会合においてクリントン国務長官は、中南米諸国に対しロボ政権を承認するよう要請した。また、右会合において、出席した中米諸国はホンジュラスのSICA及びOAS復帰を後押しすることで一致した。フネス・エルサルバドル大統領は、ホンジュラスをこれ以上SICA及びOASに復帰させないでおく理由がないとし、ニカラグア及び、UNASUR及びALBA加盟国に対し、ホンジュラス政府を承認するよう要請した。
(2)国際金融機関によるロボ政権承認
(ア)IMF
5日、モンドラゴン中銀総裁は、IMFがホンジュラス政府を承認した旨発表した。IMFは客年6月28日の政変以降凍結していた1億6400万米ドルの特別引き出し権(SDR)の使用を許可した。今次承認により,ホンジュラスのIMF加盟国としての全ての権利の行使、金融及び技術支援の要請、及びSDRの使用が可能となった。
(イ)世銀
5日、チョン財務大臣は、世銀がホンジュラスとの関係を正常化したと発表した。
(ウ)IDB
大統領府の発表によれば、16日、モレノIDB総裁は架電にてロボ大統領に対しIDBのロボ政権承認を伝えるとともに、ホンジュラスへの5億6000万米ドル(内訳:借款として約4億6000万米ドル、予算援助として約8000万米ドルの援助)の資金援助を再開することを決定した旨伝えた。
(3)セラヤのベネズエラ訪問
4日、セラヤ前大統領はチャベス・ベネズエラ大統領と会談のためベネズエラを訪問した。セラヤ前大統領は、今回のベネズエラ訪問でペトロカリブの「独立と民主主義擁護のための政治委員会」顧問に任命された。
(4)ホンジュラス・エルサルバドル・グアテマラ三カ国首脳会談
15日、ロボ大統領はエルサルバドルを訪問し、フネス・エルサルバドル大統領及びコロン・グアテマラ大統領との三カ国首脳会談を行った。右会談では、3つの協力(①麻薬取引取締への協力、②社会政策に対する協力、及び③ホンジュラスのOAS復帰実現に向けた協力)が決定された。また、フネス大統領とコロン大統領は、ホンジュラス政府がOASからの資格停止により差し止められた5億ドルの貸付金への規制を解除するようIDBに対し働きかけることを約束した。
(5)ホンジュラス・ニカラグア領土問題
22日付当地エル・エラルド紙によれば、ニカラグア・エネルギー鉱物資源省は海底地下資源調査・採掘の地域図を同省のHP上に本年1月付で掲載し、右地図において①カリブ海及び②フォンセカ湾におけるホンジュラス領海が侵犯された。右を受け,22日、国会は外交委員会に対し、ニカラグアによる不法なホンジュラス領土侵犯に関してフォローアップを行うよう要請した。
在ホンジュラス日本国大使館, Col. San Carlos, Calzada Rep. Paraguay, Tegucigalpa, M.D.C., Honduras, C.A.
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