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健康・医療豆知識

 

熱中症について(1)

 

 高温多湿な熱帯・亜熱帯で生活する人々にとって比較的身近な病態に熱中症(英hyperthermia, 西hipertermia)があります。様々な呼称の様々な病態が含まれるため、実に混乱を招きやすいところです。今回はまず基礎的な病態分類と発症の要因の整理をしてみたいと思いますので参照下さい。

熱中症は、高温多湿等が原因となって起こる症状の総称です。従来の熱中症の分類は混乱を招くとのことで、日本神経救急学会が熱中症I度・II度・III度 と記すように改定を行いましたが、医療職以外の方々が「熱中症何度ですか」「○度です」などという会話をすることも考えづらいと思いますので、ここではあ えて従来の呼称に基づいていきたいと思います。

熱中症は病態の違いから以下の4つに大きく分類されます。

1.熱失神(heat syncope, síncope de calor)、新分類Ⅰ度の一部に相当
原因:直射日光の下での長時間行動や高温多湿の室内で起こります。発汗による脱水と末端血管の拡張によって、体全体の血液の循環量が減少した時に発生します。
症状:突然の意識消失で発症します。体温は正常であることが多く、発汗が見られ、脈拍は徐脈(註:毎分40回以下)を呈します。
治療:輸液と冷却療法を行います。

2.熱痙攣(heat cramps, calambres por calor) 、新分類Ⅰ度の一部に相当
原因:大量の発汗後に水分だけを補給して、塩分やミネラルが不足した場合に発生する。
症状:突然の痛みを伴った不随意性の(註:自分の意志とは無関係に生ずる)痙攣と硬直(註:筋肉が収縮したまま硬くこわばって自由に動かなくなった状態)で生じます。体温は正常であることが多く、発汗が見られます。
治療:食塩水の経口投与を行います。

3.熱疲労(heat exhaustion, agotamiento por calor) 、新分類Ⅱ度に相当
原因:多量の発汗に水分・塩分補給が追いつかず、脱水症状になったときに発生します。
症状:症状は様々で、直腸温は39℃程度まで上昇しますが、皮膚は冷たく発汗が見られます。
治療:輸液と冷却療法を行います。

4.熱射病(heat stroke, golpe de calor) 、新分類Ⅲ度に相当
原因:視床下部(註:脳の中枢部)の温熱中枢まで障害された時に、体温調節機能が失われることで生じます。
症状:高度の意識障害が生じ、体温が40℃以上まで上昇し、発汗はなく皮膚は乾燥します。
治療:緊急入院で速やかに冷却療法を行います。

 

次に、熱中症にかかりやすくなる要因を挙げてみます。

1.環境要因
・前日より急に温度が上がった日
・温度が低くても多湿であれば起こりやすい
・室内作業をしている人が、急に外に出て作業した場合
・作業日程の初日~数日間が発症しやすい
・統計的には、午前10時頃、午後1時から2時頃に発症件数が多い

2.人的要因
・5歳以下の幼児、65歳以上の高齢者
・太っている人
・下痢等で脱水傾向にある人
・熱の出ている人
・睡眠不足の人

多湿、環境変化には充分注意して下さい。また体調不良者もハイリスクですのでご留意下さい。
言うまでもありませんが幼小児や老人には常に注意を払う必要があります。

(次回は予防法と応急処置について考えます)

 

 


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